「ドン! というすごく大きな音がしました。近くでガス工事でもやっていて、そこが爆発したのかなと思ったくらいです」


芦ノ湖近くにある飲食店の従業員は、2月10日に起きた地震についてこう話した。箱根山で運行している「箱根ロープウェイ」は、独自に設置している地震計が「震度5」を計測したため、その後、一時運休となった。


箱根で頻発している地震について、気象庁や、箱根山の火山活動を調査している神奈川県温泉地学研究所(温地研)の観測では、今年に入ってから「やや活発な地震活動が起きている」としているが、その影響については「今のところ直ちに危険という状況にはない」と発表している。


箱根山は地震と噴火を繰り返しながら形成された、まぎれもない「活火山」だ。箱根の地震がすぐに噴火につながることはないという温地研の公式見解に、地震発生のメカニズムに詳しい地殻変動の専門家で元前橋工科大学教授の濱嶌良吉氏(71)は真っ向から反論した。


「箱根で頻発している地震と、箱根山の噴火は無関係ではありません。一つの火山帯である日本国内での地震と、火山活動を切り離すことはできません。さらに箱根山の噴火はすぐ近くにある富士山の噴火とイコールと考えていい」


箱根山が本格的に噴火すると同時に、およそ35キロの距離しか離れていない富士山も噴火を始める。さらに、首都圏では恐ろしい事態が起こるという。


「私の研究では、近く富士山の噴火と同時に首都圏直下型の地震が発生します。というよりも、発生する必然性があります。日本海溝で発生したマグニチュード9クラスの地震が、東日本大震災を引き起こしました。これが日本海溝、伊豆小笠原海溝、相模トラフ、3つの海溝のバランスに影響して、首都圏直下型地震と津波発生の可能性が高まっています。この2年以内には起きるでしょう。首都圏直下型地震が起これば、箱根山の噴火というレベルにとどまる話ではありません」


(週刊FLASH 3月12日号)